前回の第一弾では、「そもそもドローンとは何か」「絶対に飛ばしてはいけない場所(飛行禁止空域)」について解説しました。基礎知識はバッチリでしょうか?
続く第二弾の今回は、場所に関わらず「ドローンを飛ばす上で絶対に守らなければならない『飛行の方法(飛ばし方)』のルール」について、初心者の方にも分かりやすく、かつ詳細に解説していきます。
実は、ドローンの法律違反で非常に多いのが、今回解説する「飛ばし方」のルール違反です。「自分の敷地だから」「周りに人がいないから」といって自由に飛ばして良いわけではありません。非常に重要な内容になりますので、しっかりと確認していきましょう!
1.飛行前の大原則!絶対に守るべき3つの基本ルール
まずは、どのような場所で飛ばす場合であっても、例外なく必ず守らなければならない基本ルールから解説します。
① アルコール・薬物の影響下での飛行は「絶対禁止」
お酒を飲んだ後に車を運転してはいけないのと同じように、ドローンも飲酒後の操縦は法律で固く禁じられています。アルコールを摂取すると注意力や判断力が低下し、正常な操縦に悪影響を与えるためです。
ここで注意すべきポイントは以下の通りです。
- お酒だけでなく「アルコールを含む食べ物」も対象になります。
- 体質や体調によって影響が異なるため、「少ししか飲んでいない」「アルコール濃度が微量」であっても、体内にアルコールを保有している状態での操縦は一切NGです。
- 麻薬などの違法薬物に限らず、市販の風邪薬などの「医薬品」であっても、正常な操縦に支障をきたすおそれがある場合は飛行禁止となります。
もしこのルールを破り、道路、公園、広場、駅などの「公共の場所(不特定多数の人が自由に出入りできる場所)」でドローンを飛ばした場合、「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」という重い刑罰が科される可能性があります。絶対にやめましょう。
② 飛行前の「準備・点検」を怠らない
ドローンの故障による墜落を防ぐため、飛行前に必要な準備が整っているかを確認することが義務付けられています。具体的には、以下のような項目を必ずチェックしなければなりません。
- 機体の点検と記録: 外部点検や作動点検(日常点検)を行い、その結果を「飛行日誌」に記録すること。
- 周囲の状況確認: 飛行ルートに他の航空機やドローンが飛んでいないか、ドローンが落ちる可能性のある範囲に第三者がいないかを確認すること。
- 気象情報の確認: 風速、気温、降雨量がドローンの性能(運用限界)の範囲内であるか、十分な視界(視程)が確保されているかを確認すること。
- バッテリー等の確認: 飛行に十分なバッテリー残量(または燃料)があるかを確認すること。
③ 迷惑行為や危険な飛行の禁止
周囲の人に不快感や危険を与えるような飛ばし方は「他人に迷惑を及ぼすような方法での飛行」として禁止されています。例えば、不必要に大きな騒音を出したり、急降下させたり、人に向かってドローンを急接近させたりする行為がこれに該当します。
また、飛行中に有人の航空機や他のドローンを見つけた場合は、衝突を防ぐためにドローンを地上に降下させたり、進行方向を変えたり、空中で停止(ホバリング)させたりするなどの安全措置をとる必要があります。
2.国の承認が必要!6つの「特定飛行」ルール
ここから解説する6つのルールは、原則として禁止されていますが、事前に国土交通大臣の「承認」を受ければ例外的に行うことができるものです。初心者の方は、まずは「承認がない限りやってはいけない飛ばし方」として覚えてください。
① 夜間飛行の禁止(日中のみ飛行可能)
ドローンは、「日の出から日の入りまでの間(昼間)」しか飛ばすことができません。 夜間はドローンの位置や姿勢、周囲の障害物が見えにくくなり、墜落のリスクが非常に高まるためです。なお、「日の出・日の入り」の時間は国立天文台が発表する時刻を基準とするため、地域や季節によって異なる点に注意してください。
② 目視外飛行の禁止(常に自分の目で見て操縦する)
ドローンは、「操縦者本人が自分の目で直接見て(目視して)」操縦しなければなりません。ここで初心者の方がよく勘違いされるのが、「目視」の定義です。以下の方法は「目視」には含まれず、法律違反(目視外飛行)となります。
- 手元のスマホやタブレットのモニター映像だけを見て操縦する。
- 双眼鏡やカメラのレンズ越しに機体を見る。
- 自分は見ずに、横にいる助手(補助者)に機体を見てもらう。
ただし、安全確認のためにバッテリー残量などを一時的にモニターでチラッと確認する程度であれば、目視飛行の範囲内として認められます。
③ 人や物件から「30m未満」の距離での飛行禁止
ドローンを飛ばす際は、「第三者」や「第三者の物件」から常に30メートル以上の距離を保たなければなりません。
- 第三者とは?: 操縦者や関係者(イベントのスタッフや、事前に安全上の注意を受けている俳優など)以外のすべての人のことです。
- 物件とは?: 自動車、電車、船などの「車両等」や、ビル、家屋、電柱、街灯、信号機などの「工作物」を指します。
※ただし、道路の路面や線路などの「土地そのもの」や、樹木や雑草などの「自然物」は、ここでの物件には含まれませんので、これらから30m離れる必要はありません。
④ イベント会場(催し場所)上空での飛行禁止
お祭りやスポーツ大会など、多数の人が集まるイベント会場の上空でドローンを飛ばすことは禁止されています。万が一落下した際、大惨事になる危険性が高いためです。
祭礼、縁日、屋外コンサート、花火大会、マラソン、さらには選挙の屋外演説会やデモ行進などもこれに含まれます。 もし飛行中に、想定外のイベントが下で行われていることに気づいた場合は、直ちに飛行を中止し、安全な場所へ着陸させなければなりません。ただし、信号待ちの人だかりのような「自然発生的な混雑」はイベントには該当しません。
⑤ 危険物の輸送禁止 & ⑥ 物件投下の禁止
ドローンを使って、火薬、高圧ガス、引火性液体などの「危険物」を運ぶことは禁止されています。墜落時に爆発や飛散のリスクがあるためです。(※ドローンを動かすためのバッテリーや、カメラの電池などは除外されます)。
また、飛行中のドローンから「物を落とす(物件投下)」ことも禁止されています。バランスを崩して墜落する原因になるからです。農作物のために水や農薬などの液体を散布する行為も「物件投下」に該当するため、農業用ドローンを運用する際は国の承認が必須となります。
一方で、ドローンを地面に降ろして荷物を置いたり、人に直接手渡ししたりする行為は投下には当たりません。
3.知っておくと便利!「係留(けいりゅう)」による特例
最後に、少し裏技的な特例ルールをご紹介します。 ドローンを「十分な強度がある長さ30m以内の紐(ひも)などで、地面や固定物にしっかりと繋ぎ止めた状態(係留)」で飛ばす場合、物理的に遠くへ飛んでいかないため、いくつかの規制が免除されます。
具体的には、以下の許可・承認を取らなくても飛ばせるようになります。
- 人口集中地区(DID地区)上空での飛行
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 第三者や物件から30m以内の飛行
- 物件投下(※ただし、農薬などの危険物輸送の承認は引き続き必要です)
この特例を利用する場合、紐の範囲内に第三者が立ち入らないよう、看板やカラーコーンを設置したり、監視の補助者を配置したりする「立入管理措置」を確実に行う必要があります。練習などでどうしても自宅の庭(DID地区内)などで少しだけ飛ばしたい場合などに活用できる知識です。
第二弾のまとめ
いかがでしたでしょうか。今回はドローンの「飛ばし方のルール(飛行の方法)」について解説しました。
- 飲酒運転は一発アウト(厳しい罰則あり)
- 飛行前の入念な機体・環境チェックが義務
- 原則「日中」に「自分の目で見える範囲」で飛ばす
- 他人や他人の建物・車からは「30m以上」離れる
- お祭りなどのイベント会場上空は飛行禁止
- 農薬散布(物件投下)などを無断で行わない
第一弾の「場所のルール」と、今回の「飛ばし方のルール」。これらをしっかりと理解し守ることが、安全なドローン運用の絶対条件です。
しかし、「どうしても夜景を撮影したい」「業務で建物に30m以内まで近づいて点検したい」といったケースもあるでしょう。 次回の連載では、これらの禁止ルールをクリアして合法的にドローンを飛ばすための、「国土交通省への許可・承認手続きの仕組み」や「機体登録制度」について詳しく解説していく予定です。
手続きに不安がある方は、ドローン法務のプロである当事務所にお気軽にご相談ください!次回もお楽しみに!