本記事では、これからドローンを始めようとしている初心者の方に向けて、国土交通省が定めている航空法のルール(無人航空機に係る規制の運用における解釈について)を、分かりやすく、かつ詳細に解説していきます。
ドローンの法律は少し複雑に感じるかもしれませんが、ルールを正しく理解することは、安全な飛行とトラブル防止のために不可欠です。本記事は非常に内容が濃いため、いくつかの記事に分けて連載してお届けします。
記念すべき第一弾の今回は、「そもそも法律上ドローンとは何を指すのか」「対象外となるドローンはあるのか」、そして「絶対に知っておくべき飛行禁止空域と屋内飛行の考え方」について徹底的に解説します。
1.航空法における「ドローン(無人航空機)」の定義とは?
世間一般で「ドローン」と呼ばれているものが、すべて航空法上の「無人航空機」に当てはまるわけではありません。航空法第2条第22項において、無人航空機は以下のように定義されています。
- 構造上人が乗ることができないもの
- 遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの
この定義について、さらに詳しく見ていきましょう。
「構造上人が乗ることができないもの」とは?
これは、機体の概括的な大きさや、潜在的な能力を含めた構造・性能などを確認し、人が乗れないと判断されるものを指します。人が乗って移動できる空飛ぶクルマのようなものは、無人航空機には含まれません。
「遠隔操作」と「自動操縦」の具体的な意味
法律でいう遠隔操作とは、プロポ(コントローラー)などの操縦装置を使って、空中で機体を上昇させたり、空中で静止(ホバリング)させたり、水平飛行や下降などの操作を行うことを意味します。
一方、自動操縦とは、機体に組み込まれたプログラムによって自動的に操縦を行うことを指します。具体的には、事前に設定した飛行ルートに沿って飛ばす機能や、飛行の途中で人が操作に介入できず、離陸から着陸まで完全に自律的に飛行するものなどがこれに該当します。
つまり、「人が乗れず、コントローラーやプログラムで空を飛ぶ機器」が、原則として航空法上の無人航空機として規制の対象になります。
2.航空法の対象外になるドローン(100g未満のルール)
すべてのドローンが厳しい航空法の対象になるわけではありません。航空機の航行の安全や、地上・水上の人や物件の安全を損なうおそれがないものとして、重量が「100グラム未満」のものは無人航空機の対象から除外されます。これらは一般的に「トイドローン」や「模型航空機」と呼ばれます。
重量の正しい計算方法に注意!
ここで初心者が最も勘違いしやすいのが「重量」の計算方法です。法律上の重量とは、「無人航空機本体の重量」と「バッテリーの重量」の合計を指します。 バッテリーを外した状態の重さではありませんので、必ずバッテリーを装着した状態で100g未満かどうかを確認してください。
ただし、プロペラガードなどの「バッテリー以外の取り外し可能な付属品」の重量は、この計算には含めないことになっています。アクセサリーをつけて100gを超えてしまったとしても、本体とバッテリーの合計が100g未満であれば、無人航空機の規制対象からは外れることになります。
3.ここは飛ばしちゃダメ!「飛行の禁止空域」を徹底理解
重量100g以上の無人航空機に該当するドローンを飛ばす場合、航空法第132条の85により、原則として飛行が禁止されている空域があります。
(1) 人口集中地区(DID地区)の上空
人や家屋が密集している地域(人口集中地区)の上空は、飛行が禁止されています。 理由は非常にシンプルで、ドローンに不具合が起きて落下した場合、地上や水上にいる人や建物(物件)に対して危害を及ぼす危険性(蓋然性)が高くなるためです。
「自分の家の庭なら飛ばしてもいい?」というよくある質問 初心者の方から「人口集中地区に住んでいますが、自分の家の庭(私有地)の範囲内なら無許可で飛ばしてもいいですよね?」という質問をよくいただきます。 結論から言うと、私有地であってもNGです。
たとえ私有地内での飛行であっても、突風などの強風によって予期せぬ場所へ機体が飛ばされてしまうリスクが想定されるため、人口集中地区内である限りは飛行の禁止空域に該当し、国土交通大臣の許可が必要になります。 ※例外として、地域の実情などを踏まえ、安全が損なわれるおそれがないとして国土交通大臣が告示で定めた地域は除外されますが、現在そのように除外されている地域はありません。
(2) 地表または水面から150m以上の高さの空域
航空機の安全を守るため、地表や水面から150m以上の高さの空域も原則として飛行禁止です。しかし、ここには重要な例外ルールが存在します。
「物件から30m以内の空域」は例外となる 地表から150m以上の高さであっても、「地上または水上の物件から30m以内の空域」であれば、150m以上の飛行禁止空域から除外されます。 たとえば、空港周辺や緊急用務空域、人口集中地区のいずれでもない場所において、高層ビルの壁や屋上から30m以内の空域であれば、たとえ高さが150m以上であっても、無許可でドローンを飛行させることが可能です。
また、ビルだけでなく、高構造物をつなぐ送電線などもこの「物件」に該当するため、送電線から30m以内の空域も除外の対象となります。
ただし、この「物件から30m以内」の空域を利用して飛行する場合、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- その物件の関係者による飛行であること
- 「第三者から30mの距離を保つ」というルールに従わない飛行として、国交省の承認を受けていること
当然ですが、その高層ビルがある場所が「人口集中地区」に該当する場合は、高さの許可は不要でも「人口集中地区上空の飛行許可」は別途必要になりますのでご注意ください。
4.屋内なら航空法は適用されない?「屋内飛行」の正しい解釈
「外で飛ばすのが難しいなら、建物の中で飛ばせばいいのでは?」と考える方も多いでしょう。 その通りで、建物の中などの「屋内」での飛行については、航空法上の各規制(飛行禁止空域や飛行の方法など)は適用されません。許可や承認を取得しなくても飛行させることができます。
しかし、「どこからどこまでが屋内と認められるのか」については、明確なガイドラインが定められています。以下の空間での飛行は「屋内での飛行」とみなされます。
- 内部と外部が明確に区別された空間:トンネルの内部、地下道の内部、煙突の内部などがこれに該当します。窓や扉が開いている建物の中も含まれます。
- ネットなどで囲われた空間:ドローンの大きさよりも目の細かいネットや金網などで四方を囲われ、ドローンがその飛行範囲から外へ逸脱することがないようにしっかりと措置された空間も屋内として扱われます。
また、少し特殊な例として、開口部(入り口など)の付近で、飛行前のドローンの動きを確認するために操縦者の近くで低く浮上させ、そこからすぐに空間の内部(屋内)へ進入していく行為は、屋外での飛行とはみなされません。
【屋内飛行における重大な注意点】 窓や扉の開いた建物内など、開口部がある屋内で飛行させる場合、ドローンの飛行ルートが開口部に近づく際には、ドローンが意図せずに屋外へ飛び出してしまうことを防ぐための措置を講じる必要があります。
もし予定のルートから外れて屋外に飛び出してしまった場合には、ただちに飛行を終了させるか、速やかに屋内に引き返すための措置をとらなければなりません。 屋外を飛行するための許可や承認の手続きを行っていない状態で、誤って屋外へ飛び出してしまった場合、航空法違反に問われる可能性がありますので、屋内の飛行であっても十分な安全対策と注意が必要です。
第一弾のまとめと次回予告
いかがでしたでしょうか。今回は、ドローン専門の行政書士の視点から、ドローン初心者の皆様に向けて以下のポイントを解説しました。
- 航空法の対象となるドローンの定義(人が乗れない、遠隔操作・自動操縦ができる)
- 100g未満は対象外(ただし重量は本体+バッテリーの合計)
- 人口集中地区(DID地区)は私有地でも飛行禁止
- 150m以上の空域でも、物件から30m以内なら例外的に飛ばせる場合がある
- 屋内飛行は規制対象外だが、屋外への飛び出しには厳重な注意が必要
まずは「どこで飛ばしてはいけないのか」をしっかりと頭に入れておくことが、ドローン操縦者としての第一歩です。
次回の第二弾の記事では、場所だけでなく「どのような飛ばし方をしてはいけないのか(飛行の方法に関するルール)」について徹底解説します。飲酒時の飛行禁止、夜間飛行の制限、目視外飛行のルールなど、絶対に守らなければならない重要な内容が目白押しですので、ぜひ次回もご覧ください!