3月24日、ドローンを活用してビジネスを展開される事業者様や、趣味で空撮を楽しむ皆様にとって、今後の活動を左右する極めて重要な「小型無人機等飛行禁止法(いわゆるドローン規制法)」の改正案が閣議決定されました。
今特別国会での成立を目指すこの法案が通れば、これまでの常識が通用しなくなります。今回は、法務の専門家である行政書士の視点から、改正案の全容と現場で取るべき対応策について解説いたします。
なぜ今、これほど厳しい法改正が行われるのか?
私が初めてドローンというテクノロジーに触れたとき、かつて「携帯電話」が世の中に登場したときと同じくらいの強い衝撃を受け、「これは確実に世界を変える」と確信しました。
事実、現行の法律ができた約10年前と比べ、ドローンの進化は目覚ましいものがあります。当時は時速50キロ程度だった市販機が、今では時速80キロ、海外製の一部では時速150キロを超えるスピードで飛行し、10キロ離れた場所へ高画質な映像をリアルタイムで送れるようになりました。
しかし、この素晴らしい技術革新は、同時にテロなどの脅威が遠隔から重要施設を狙いやすくなったというリスクも生み出しました。従来の「施設から半径約300メートル」という規制ラインでは、高性能化した現代のドローンを防ぎきれなくなったことが、今回の抜本的なルール見直しの背景にあります。
ドローン規制法改正案・押さえておくべき5つのポイント
今回の改正案には、日々のフライト計画を根底から見直す必要のある厳しい内容が盛り込まれています。特にご注意いただきたい5つの変更点は以下の通りです。
1. 飛行禁止エリア(イエローゾーン)が半径約1キロへ大幅拡大
現在、国会議事堂や首相官邸、皇居、原発、自衛隊・在日米軍基地、空港など(全国484施設)の周辺上空に設定されているイエローゾーンが、現行の約300メートルから「約1キロメートル」へと一気に広がります。
2. 事前警告なしの「即時摘発」が可能に
これまでイエローゾーンに誤って入ってしまった場合、まずは警察官等からの退去命令(警告)があり、それに従わない場合に処罰されていました。しかし改正後はこの警告措置が撤廃され、無許可で飛行させた時点で直ちに摘発の対象となります。
3. イエローゾーンでの違法飛行に罰則を新設
即時摘発の導入に伴い、イエローゾーンでの無許可飛行に対して「6カ月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金」という重い罰則が新たに設けられます。
4. 要人の訪問先や国際会議会場が「一時的な規制対象」に
常設の重要施設だけでなく、天皇陛下や内閣総理大臣の訪問先、また警察庁長官や外務大臣が指定する国際会議や式典の会場周辺も規制対象に加わります。事前の準備期間を含め、期間限定で飛行が全面禁止となります。
5. 施設管理者への電波妨害(ジャミング)等の排除命令
違法ドローンを物理的に排除するため、警察官が原発などの施設管理者に対し、通信を強制的に遮断するジャミングなどの対抗措置を命じることができるようになります。
公布からわずか20日で施行 操縦者が今すぐやるべき対策
行政書士として皆様に最も強くお伝えしたい事は、この改正案が成立した場合、公布からわずか「20日後」には施行される見通しであるという点です。準備期間はほとんどありません。
規制エリアが半径1キロに広がることで、昨日まで合法的に空撮や点検ができていた場所が、ある日突然イエローゾーンに飲み込まれる可能性が非常に高いです。さらに、要人訪問による一時的な規制も加わるため、「いつもの場所だから大丈夫」という思い込みは、即座に逮捕や書類送検につながる致命的なリスクとなります。
今後の安全運用において絶対に欠かせないのが、飛行直前の入念な情報収集です。フライト計画を立てる際や飛行の当日は、必ず国土地理院の「地理院地図」等で最新の空域情報をチェックするフローを社内で徹底してください。
まとめ:ドローンの安全な法務運用は専門家へご相談を
技術の進化に伴い、ドローンを取り巻く法律は日々複雑化・厳格化しています。知らず知らずのうちに航空法や関連法令に違反してしまわないよう、事業としてのドローン運用には法務の専門知識が不可欠です。
桑園みらい行政書士事務所では、最新の法改正にいち早く対応し、北海道内で活躍されるドローン事業者の皆様が安心して業務に専念できるよう、飛行許可承認申請(DIPS2.0対応)から安全運用コンサルティングまでを全力でサポートいたします。